子育て情報
風疹の予防のために
日本の各地で風疹の発生が大きな問題になっています。特に首都圏や関西地方に多く、今年に入ってから患者の発生数は近年としては最高です。
風疹はもともと子どもがかかる病気。感染すると微熱が数日続き、体に発疹が出て、首のリンパ節が腫れます。大きな合併症はなく、「三日ばしか」と呼ばれるほど、軽い感染症です。 2回のワクチン接種を受けるとほぼ完全に予防することができます。
実は小児科医はほとんど風疹の患者さんを診ることがなくなりました。わたしも十数年診察をしていないのです。子どもたちに風疹ワクチンを徹底して受けさせていただいたおかげです。
現在患者になっているのは20歳代以上の大人の方。そしてその大半は男性の方です。以前、中学生の女子のみに風疹予防接種を行っていた時代があります。(1977〜1994年)。男子は対象外だったため、自然罹患していない限り、風疹に対する免疫がありません。それが、今の20〜40歳代男性になります。
●先天性風疹症候群の危険
風疹ウイルスには胎児の奇形を生じさせるという悪い性質があります。もし、妊娠初期の女性が風疹にかかると、胎盤を通してウイルスが胎児にうつり、胎児の病気を作ってしまいます。「先天性風疹症候群」と呼ばれるものです。目、耳、心臓に障害が生じます(白内障、難聴、先天性心疾患)。妊娠可能な女性は中学生のときにワクチン接種を受けた方が多いはずなのですが、1回の接種では、免疫が弱く、風疹にかかる可能性もあります。
風疹に対する免疫を調べることができます。妊娠すると産婦人科では必ず調べているようです。もし抗体がないか、少ない場合には風疹にかからないように十分注意して生活をしてください。風疹ワクチンは妊娠中には接種できませんので、分娩後に必ず接種を受けて欲しいのですが…、残念ですが、そのままになっている方が少なくありません。
●成人男性にワクチンを
せっかく抗体検査を受けてあるのに、それが活かせていない状況です。
家族で風疹患者が出たら大変。とくに夫は免疫がない場合が多いので、すぐにワクチン接種を受けて、万一の事態を予防して欲しいのですが・・任意接種で自費になるためか、受ける方が少ない現状です。 小児科医にとって風疹という感染症や先天性風疹症候群は過去の病気と思い込んでいましたが、そうではないようです。ワクチン接種は小児科で積極的に行っていますので、ぜひご相談してください。
プロフィール
塚田次郎先生
上越市にある「塚田こども医院」の院長。 自治医科大学卒業後、1990年に塚田こども医院を開設。日本小児科学会専門医。日本小児科医会「子どもの心相談医」。テレビ、ラジオ、講演会などでも活躍中。
URL:https://www.kodomo-iin.com/
「世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)(記事提供)」
1994年、第79代内閣総理大臣夫人、細川佳代子によって設立。寄付を募り、予防可能な感染症で命を落とす子どもが数多くいる国々に、ワクチン及び関連物資を贈る活動や、国際協力の重要性への理解を深める活動を行っている。
URL:https://www.jcv-jp.org/
FB:https://www.facebook.com/one.polio
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