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唱えられるからといって数えられるとは限りません

 「お風呂の算数」って聞いたことがありますか。親子でお風呂に入ったとき、子どもがろくに温まらないで出たがりますよね。そんなときに、「100まで数えたら出ていいよ」と、湯冷めをしないように父親や母親が言いますね。子どもは出たい一心で「1,2,3,4・・・」と数を唱えていきます。最初の頃は、10や20までですが、幼児になるといつの間にか100くらいまで言えるようになります。誰が名づけたか、それを称して「お風呂の算数」と言います。

 これは、ご承知のように数を数えているのではなく、唱えているだけの可能性が高いわけです。機械的に暗誦しているのですね。ちょうど、お坊さんが経を唱えているように・・・。ですから、「39」の一つ上が「40」であり、一つ前が「38」であるということを理解しているとは限りません。ちなみに今度お風呂に入ったら、「今日は、50から逆に1まで数えられたら出ていいよ」と言ってみてください。お子さんは何回も言い間違えてゆでだこになってしまいますよ。

 このように「唱える」ことと「数える」ことは、必ずしもリンクして理解しているとは限らないのです。特に、10以上の大きな数についてはなおさらです。まずは10以内の数をしっかり数える力をつけておくことです。そのためには、日常生活の中で数える機会をおおいに活用することです。例えば、一緒にお買い物に行ったとき品物を数えながらかごに入れたり、肩をたたいてもらうとき数えながらゆっくりたたいてもらうとか、食卓に家族の人数分食器を並べてもらうとか、トランプやすごろく遊びをするとか、あるいは、おはじきや折り紙を数えるなどたくさんあるでしょう。

 数は、いわゆる抽象概念ですから幼児にとって難しい分野です。具体物を数字という抽象的な記号に置き換えて理解するということはなかなか定着しません。ですから上記のような日常生活の中で、具体物で繰り返し経験しておくことが大事になるのです。

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