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「いただきます」の心、大切に・・・

 「給食費をきちんとはらっているのに『いただきます』と言わせるのはおかしいです。うちの子には言わせないでください」といった保護者からの要請が小学校の先生にあったという話を聞いたことがあります。「タダで食べさせてもらっているわけではないのだから」という考えから発した言葉でしょう。

 このように、「いただきます」の意味を理解していない保護者がいるのではと推察されます。「いただきます」には生きているものを食する、命あるものを食する感謝の気持ち、あるいは、稲や作物を一生懸命育ててくれた人々に感謝しつついただくという意味がこめられています。

 平成12年度の日本スポーツ振興センターの調査では、家で食事をする際、「いつも挨拶する」という小学生は52%、中学生に及んでは37%という数字になっています。これでは、「いただきます」の言葉の意味を誤解してしまうのも無理からぬことです。

 ほとんどの幼稚園や保育園においては、給食時に給食当番の子どもが前に出て、「それではみなさん、いただきます」と唱和をしています。そういった挨拶の習慣が家庭の中では見られないことが少なくなく、子どもたちもいつしか挨拶の意味を理解しないまま過ぎてしまうのでしょう。

 私たちにとって食生活は健康を維持する面だけでなく、家族が豊かな時間を過ごす憩いの場であったり、美味しい料理を作る両親に感謝をする場であったりといろいろなシチュエーションで、なくてはならない環境の一部です。心の優しい子どもに育てるためにも、食生活における「いただきます」「ごちそうさまでした」の挨拶に込められる気持ちを家族で、再度確認していかれるとよいでしょう。

 いろいろな人や物に感謝する気持ちが優しい心を育てる土壌になります。是非、両親から率先して実行されることを願っています。

池澤 純二

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