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次第に少なくなるタッチング

 犬や猫を飼っている方であれば、よりおわかりのように、背中を撫でてやったり、首回りをさすってやったりすると、とても気持ちよさそうにしますよね。犬や猫は人間の愛撫に愛情を感じているそうです。つまり、タッチングです。

 赤ちゃんは生まれてからすぐに母親に抱っこされ、話しかけられたりしながら育っていきます。そして、常に、家族から触れられたりします。やがて幼児期になると、外界との関わりに興味を持ち、行動範囲が広がり、いつも親と一緒にいるということもなくなります。そのため、タッチングをされる機会も減ってきます。しかし、そんな子どもでも、まだ何かというと父親や母親の胸の中に飛び込んできますよね。それは、このようなタッチングが、まだ自立ができていない子どもの心を安定させているからなのです。

 さらに成長すると、親とのタッチングは急激に減ってきます。小学校の高学年にもなると極端に減り、中学生ではほとんどなくなり、親のほうからタッチングを求めたとしても、嫌がり逃げてしまいますよね。そんなとき、親は成長していく子どもに対しての満足感と同時に一抹の寂しさを感じます。幼児のころにタッチングを十分に経験した子どもは、大きくなった時に自立がしっかりできてきて、必要以外のタッチングをすることが自然になくなってくるのです。

 最近は、子どもの虐待のニュースが連日のように新聞をにぎわしています。そのほとんどが、体を傷つける暴力や、食べ物や飲み物を与えないといったものです。こういった虐待を受けてきた子どもたちは、親からの十分な優しいタッチングを経験していません。頭をなでられたり、抱かれたりする経験が極端に少ないのですから、十分な愛情交換を経験していないわけです。こうした愛情不足が、後年問題行動を起こす遠因になってくる場合が少なくありません。

 父親や母親が優しい気持ちで子どもに触れるという行為は、親そのものの情緒も安定していないと難しいものがあります。情緒が安定した親からのタッチングは、当然、情のこもった優しいものですから、子どもにとってもこの上もなく幸せなひと時になるのです。どうせ、子どもが大きくなったら、タッチングは減るわけですから、今、この幼児期のあいだは十分なタッチングをしてあげましょう。

池澤 純二

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