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知識から疑問、そして思考力へ

 幼児の知的好奇心の変化をたどりますと、一目瞭然なことがあります。それは、「アレ、ナアニ?」という認識から、「ナゼナノ?」という思考に移っていくことです。つまり、いろいろなことを知っていくことで生まれる疑問を、追求していくようになっていきます。

 例えば、「キリン」という動物を知って、そして、同様にほかの動物を知っていくうちに、とりわけ首が長いということがほかの動物とは違うということに気づき、「キリンはどうして首が長いんだろう?」という疑問が湧き、周囲の大人に質問するわけです。

 つまり、最初はキリンという形を認識し、ほかの動物も認識するうちに形の特徴に気づき、不思議に思い、ナゼ?という知的好奇心につながっていくわけです。考える力(思考力)を育てていくためには、考える基になるいろいろな事物・事象を知らなければならない、ということです。

 成長に従って子どもはまず、身の周りや絵本や図鑑、そしてTVなどの映像を通して、一つ一つの名称を知り、形を知っていきます。この「認識の時代」はおよそ3歳までが旺盛な時期です。子どもが周囲の事物や事象を知識として豊富に獲得していくためには、やはり、周囲の大人、すなわちお父さんやお母さん、あるいは祖父母がいれば祖父母から、「これはリンゴだよ」「あれはボウシだよ」といった具合にひっきりなしの話しかけが、結局は思考の基になる知識を習得する絶好の機会になっています。

 そして、3歳を過ぎるころになりますと、知らないものに遭遇すると周囲の大人に聞いて知識を自ら獲得するようになります。そういった諸々の知識を、自分の引き出しに整理して収納していきます。この整理された知識が、「ナゼダロウ?」と考える際にいろいろ組み合わさり、思考力という力になっていくのです。

 ですから周囲の大人はできるだけ、いろいろな物に出会わせる機会をたくさん作ってあげることが、とても大切になってきます。

池澤 純二

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