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「父ちゃんからの手紙」 〜Letter from Dad〜 写真家の父ちゃんが、長男林太郎君にあてた旅先からの手紙を、印象的な写真とともにお届けします。

Vol.22<福島県郡山市

林太郎へ

 雪降る福島県郡山市に来ています。郡山の中心は大きな街ですが、少し外れるとたくさんの畑が広がっていてとても心落ち着く場所です。そんな郡山の外れで、父ちゃんは不思議な世界に迷い込みました。

 大きな建物の扉を開けると、中は濃い霧がかかっていて、蛍光灯の光が規則正しく並んでいます。外の寒さに比べるとずいぶん暖かく、ふわふわとした空気に包まれます。光に照らされ浮かび上がってくるのはずらりと並んだキノコたち。薄茶色の泡のようなふくらみが一面、いえ何重にも重なって広がっています。ここは、なめこの栽培をする農園です。農園というと、太陽の光の下で、土の香りのするところばかりが知られていますが、こんな不思議な場所もあるのですね。

 父ちゃんはみそ汁の中のおいしい“ぬるぬる”を食べるたびに、この不思議な部屋を思い出すでしょう。

(2014年12月17日)

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公文健太郎プロフィール

1981年生まれ。1999年から、ネパールを舞台にドキュメンタリー写真を撮り続け、写真集やエッセイ、写真展などで発表。また、近年は世界各地にテーマを持ち、作品づくりを続けている。写真集に『大地の花―ネパール 人びとのくらしと祈り―』(東方出版)、『BANEPA―ネパール 邂逅の街―』(青弓社)、フォトエッセイに『だいすきなもの―ネパール・チャウコット村のこどもたち―』『ゴマの洋品店―ネパール・バネパの街から―』(ともに偕成社)などがある。2012年日本写真協会新人賞受賞。

このコラムは、2013年4月〜2014年3月まで「おやこCANBook」で連載していた「父ちゃんからの手紙」1〜12の続きです。1〜12は下記バックナンバーをご覧ください。