5歳の双子(男、女)のパパをしている歯科医師です。小児に関する話題を今までの経験を踏まえてお話できればと思います。
『子宝』という字の通り、お子さんはだいじなだいじな宝物です。その宝物のお子さんをサポートできる仕事をしていることを人生の喜びと感じております。
赤ちゃんの歯みがきは、離乳食を最初のひとさじから少しずつ慣れさせて行くのと同じように、月齢や成長に合った無理のない方法で、ゆっくり進めていかなくてはなりません。赤ちゃんは、平均して7~8ヶ月ごろに下の前歯が2本生えはじめます。沐浴のときに赤ちゃんの身体をガーゼでやさしく拭くのと同じように、生えてきた乳歯の周囲をぬらしたガーゼで拭き取ってきれいにします。ただし、下の前歯は唾液の出口の近くで、いつも唾液で洗われていて、汚れがつきにくいので無理をする必要はありません。食後に湯冷ましや麦茶を飲ませて、口の中をきれいにする程度でも良いでしょう。
このころから、歯みがき準備のタッチトレーニングをしましょう。赤ちゃんは、口の周りを触られたり、口の中を触られるのに慣れていません。大人でもそうですが、急に触られると驚いてしまいます。ですから、赤ちゃんの機嫌の良いときに、あやしながら笑顔でコミュニケーションをとりながら身体の末端である手や腕にタッチしたり、さすったり、握手したりして、慣れてきたところでボディタッチをします。ボディタッチにも慣れてきたところで、赤ちゃんのほっぺをチョンとタッチしたりして慣れさせます。ほっぺに限らず、鼻、おでこ、唇などもタッチしましょう。このようにタッチトレーニングすることが歯みがき準備の第一歩になります。
タッチトレーニングは、まだあります。いつもやっていることですが、口の周りのよだれやミルクなどの汚れをガーゼやティッシュで拭きますよね。その時がタッチトレーニングのチャンスです。あやしながら、楽しみながら、笑顔で口の周りを拭き取ったあとに、ガーゼを丸めて口の周りをポンポンポンと触ったり、ほっぺをグルグルマッサージしたりしてもいいでしょう。
次が、歯ぐきタッチです。あやしている時などに指先で唇をタッチして、その奥の歯ぐきもやさしくタッチしてください。このときは、指先を動かさずに指先をしゃぶらせるような感じで数秒間行うと良いでしょう。慣れてきたら指を横にして歯ブラシをするような動かし方をします。当たり前ですが、手がきれいな時にしてくださいね。
タッチトレーニングは、他にもいろんなやり方があります。赤ちゃんの状態に合わせて工夫して楽しみながら行ってください。
明海大学歯学部卒業後、明海大学歯学部PDI埼玉歯科診療所にて2年間研修する。
平成4年、品川区にある辛島歯科医院を父親から継承する。
専門は、歯科医療全般であり、赤ちゃん・母親の口腔衛生指導から、むし歯、歯周病、かみ合わせ、義歯、障害者、寝たきり患者への訪問歯科診療など、地域医療に貢献する、かかりつけ歯科医を目指して日々研鑚している。
母親学級、歯周病予防、口腔ケア、などの講演経験があり、幼稚園、小学校、中学校での口腔衛生指導の経験もある。
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