便秘は、離乳食が始まった乳児から大人まで、だれでもなるもの。ところが最近、乳幼児の慢性的な便秘が増えています。便秘になると、食欲がなくなったり、免疫力が落ちて病気にかかりやすくなったりします。では、実際に子どもが便秘になるのには、どんな原因があるのでしょうか。
①直腸や肛門の感度が未発達なため、うんちが直腸にたまっても気づかない
②腹筋や肛門括約筋など、うんちを外に押し出す筋肉が弱い
③心身のストレスが原因で、うんちを肛門へ送る作用を持つ副交感神経がうまく働かない
子どもの便秘の原因としてもっとも多いのが①と②です。③は子どもだけではなく、大人にも見られます。ちなみに、いいうんちを作る「善玉菌」が減ったために起こる便秘は大人特有のもの。腸内にたっぷり善玉菌がある子どもの場合、善玉菌を増やすヨーグルトなどをたくさん食べても、目覚ましい効果は期待できないことが多いのです。
では、子どもの便秘を治すために、家庭ではどんなことができるでしょうか。
・まずは、たまっているうんちを出す
3日間ほど排便がなかったり、子どもが腹痛で苦しんでいたりするときは、まずは一度たまったうんちを出すことです。綿棒に油を塗って肛門を刺激したり、スポイトでぬるま湯を肛門にかけたりしてみましょう。それでも出ないなら、浣腸をしてすっきりしましょう。「うんちを出すとすっきりする」と子どもに気づかせることが大事です。排便がないようなら、小児科を受診しましょう。
・早起きして、必ず朝御飯を食べ、トイレに行く習慣を!
少し努力が必要ですが、朝早く起きて、コップ一杯の水を飲み、しっかり朝御飯を食べ、うんちが出なくても5分はトイレに座りましょう。だんだんと朝うんちするリズムが整うはずです。また、早寝早起きによって子どものストレスが減り、排便を促す副交感神経の働きもよくなります。
・水溶性食物繊維やオリーブオイルをとる
水溶性植物繊維は、うんちを柔らかくしてくれます。海藻類、きのこなどのほか、バナナ、りんご、ココアなど、子どもの好きなものにも多く含まれています。オリーブオイルには腸内環境を改善する力があるので、料理に多く取り入れるといいですね。また、糖分のある食べ物には精神を安定させる作用があるので、おやつなどを食べることでお子さんの不安感を取り除くこともできます。
・おなかをマッサージ
おなかに「の」の字を書くように、時計回りにゆっくりと円を描くようにてのひらでマッサージします。おなかにガスがたまって苦しいときに効果がありますし、お母さんやお父さんになでてもらうことで、子どもがリラックスできます。
・子どもの不安感をなくす
うんちをしたときに肛門が切れて痛い体験をするなどして、うんちへの不安感が募っていることがあります。トイレに子どもが好きなおもちゃを置いたり、好きなキャラクターのイラストをはったりするなどの工夫をして、楽しい雰囲気を作り、不安感を取り除きましょう。
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