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子どもの急な耳の痛み、もしかして急性中耳炎?

子どもに多い病気の一つ、急性中耳炎。どんな病気なのかを知って、できるだけ早く治してあげましょう。

 子どもが耳の中に痛みを訴えたら、ほとんどの場合が急性中耳炎。小学生ぐらいまでの子どもに多く、特に0~3歳児がかかりやすいのが特徴です。

 急性中耳炎とは、耳の鼓膜の内側にある「中耳」に細菌が付いて炎症が起きる病気のこと。風邪などで鼻やのどに付いた細菌が、耳管を通って中耳に感染するのが原因です。

 症状は、急に38.5℃以上の高熱が出て、元気がなくなり、やがて耳が痛くなるのが特徴。「耳が痛い」と言葉で伝えられない0~2歳ぐらいの子どもの場合は、とても機嫌が悪くなり、ぐずったり、耳の辺りにしきりに手を持っていったりします。

 感染した細菌の種類によって重症度は異なりますが、多くの場合、小児科で処方してもらった抗菌薬を飲めば、およそ1週間で治ります。ただし気づかないうちに悪化すると、鼓膜が破れて耳だれが出てしまうことも(鼓膜は時間がたてばふさがり、難聴になることもほとんどありません)。また、耐性菌など、感染した細菌の種類によっては、入院して治療する必要があることもあります。

 もし、夜間に突然子どもが耳の痛みを訴え始めたら、耳の近くや耳の下の首の辺りなど、子どもが嫌がらない所を冷やしてあげてください。耳の中が炎症を起こしているので、温めるのは厳禁です。もちろん、入浴するのもやめましょう。解熱剤があれば飲ませてもいいので、とにかく痛みを抑えてあげるようにして、翌朝なるべく早めに病院で診てもらいましょう。ただし、激しい痛み、耳だれが出ている場合は、夜間でも早急に治療してもらうことが必要です。

また、治療期間中は、熱が下がって耳の痛みが引き、機嫌がよくなるまでは入浴しないようにしましょう。食べてはいけない物は特にありませんが、熱が下がるまでは温かい物よりも冷たい物のほうを喜んで食べるはずです。アイスクリームなど冷たくて甘い物なら無理なく食べられ、エネルギーの補給にもなります。

 ところで、子どもの中には、繰り返し急性中耳炎にかかってしまう子がいます。なぜでしょうか?

 原因の一つとして、熱が下がって痛みがなくなったからと言って、病院から出た薬を途中でやめてしまうことが挙げられます。大抵、薬を飲み始めて3日ほどで熱も痛みも治まりますが、実は炎症そのものは完治していないことが多いのです。抗菌薬を飲み続けることに不安感を持っている方もいますが、必要な日数だけきちんと飲んで完治させることは、病気の再発を防ぐためにも大事なのです。

 また、アレルギー性鼻炎などで、もともと鼻の粘膜が弱い子は、鼻風邪を引きやすく、結果、急性中耳炎にもなりやすくなります。その場合は、鼻炎の治療をしっかり進めつつ、もし鼻風邪にかかって緑色の鼻水が出始めたら、熱がなくても抗菌薬を飲むことをお勧めします。
ただし、月に1回くらいの頻度で頻繁に急性中耳炎にかかり、薬を飲んでもなかなか治らない場合は、体の免疫力そのものが低いことも考えられます。

 急性中耳炎にかかりにくくするためには、免疫力を高めて、風邪を引きにくい体を作ることが大切です。免疫力を付けるには、まず、早寝早起きで睡眠時間をたっぷりとり、外で遊んで、3食きちんと食事をすること。特に朝食をしっかり食べないと元気が出ず、免疫力が低下しがちなので、気を付けましょう。ヨーグルトなど乳酸菌の入った物や、昆布など粘りけのある物は、鼻やのどなど体の粘膜の免疫力を高めるので、積極的に食べたいですね。

 また最近、細菌性髄膜炎(細菌感染により、脳や脊髄を覆う保護膜に炎症を起こす病気)の予防のために打つ肺炎球菌ワクチンが、急性中耳炎の予防にもある程度有効だということが分かってきました。肺炎球菌は中耳に炎症を起こす細菌の一つなので、肺炎球菌ワクチンを打っておくことも、急性中耳炎予防の一つの方法です。繰り返し中耳炎にかかってしまう場合は、かかりつけ医に相談してみましょう。

監修:
石川功治(たんぽぽこどもクリニック院長)

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