TVで身の回りがかたづけられない大人たちを紹介していました。家の中はゴミだらけ、寝る場所もないありさまに、見ているだけでもぞっとしました。何が原因でそうなったのかはわかりません。でも、生まれつきのかたづけ嫌いではなかったと思います。いえ、むしろある時期、子どもは整然として秩序のある環境を好むのです。モンテッソーリ教育で有名なマリア・モンテッソーリは、子どもを科学的に観察する中で、特定のことに敏感になり、吸収しやすい時期がある=それを「敏感期」と言いました。事柄とその時期を大別すると、
などをあげています。子どもによって、その時期にばらつきは若干ありますが、お子さんの様子から子どもにそんな時期があることに同意できるのではないでしょうか?
このことで大切なのは、「教育にはちょうど良い時期がありそうだ」ということです。英語の習得に苦労する日本人には、痛切な想いでしょう。もちろん、その時期を失ったら永遠に不可能ということではないのです。努力すれば獲得可能なこともあります。ただ、せっかくのチャンスだと思いませんか?例えば子どもが数について吸収しようとするとき、その環境や大人の応答がなかったり、まだ、その時期でもないのに無理に与えて算数嫌いにしたりすることはないでしょうか?よくよく考え、子どもを見つめて、適切な環境作りをしたいと思いませんか。
ただ、この考えに疑問を呈する人もいます。教育はいつでも可能というわけです。そんなわけで、この敏感期(臨界期とも)について、経験からでなく、脳科学から解明できないかという研究が国をあげて進んでいます。すぐに結論は出ないかもしれませんが、敏感期が説き明かされたら、教育が変わりますね!
元学研教育総合研究所副所長・脳力開発研究室室長 加藤信巳
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