教育の世界で、しばしば、「見える学力、見えない学力」といった表現を見かけます。見える学力とは、文字通り、日々習得している学力(知識)を指し、見えない学力とは、見える学力を支え、生かす力を指します。
足し算や引き算ができる、100までの数が唱えられる、文字が読めるといったような、親がすぐわかる力、これが見える力ですね。これに対して、人の話しをしっかり聞くことのできる力、読んでもらう絵本やお話から様々なことを感じ取れる力、これらが見えない力と言えましょう。いろいろな学力(知識)を獲得するうえで、または獲得した学力を活用するうえで下地となる大切な力です。こういった力は、単なるトレーニングからではなく、種々の出会いから身に付いていくものです。
さて、幼児にとっての出会いや経験といえば、やっぱり絵本やお話が代表的なものの1つですね。よく、「お母さん、幼児期は絵本やお話をたくさん読んであげてくださいね」と、提唱する専門家がいます。この絵本やお話との出会いは、情操や想像力を豊かにするばかりでなく、広い意味の思考力を育てます。
いろいろな絵本やお話の読み聞かせは、子どもの総合的な力としてやがて役立つ、いわば、即効性に対して「遅効性の教材」とも言えるものなのです。
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