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育ちには幅がありますよ

 小学校や中学校の学習内容は学年によって決められていますよね。先生たちはその学習内容にそって授業を行っています。こと、幼稚園における指導内容はどうなっているのでしょうか。実は、2009年に「幼稚園教育要領」の改訂が行われ、その中で、特筆すべきことがらがあったのです。

 それは、各歳の子どもの育ちに言及した箇所です。そこには、各歳の育ちは 「おおむね」という表記があったことです。これは、3歳は3歳なりの発達をしますが、あくまでも標準的なものであり、どの子どもも同じような発達をするというものではないということです。子どもによっては、その発達まで到達していない場合もあるし、逆に、すでに成熟してしまっている場合もあるという具合に、かなりのばらつきがあるということを意味します。ですから、発達の目安はあくまで、「おおむね」という形で表記しているわけです。

 従って、幼稚園や保育園(保育所保育指針があって、これは幼稚園教育要領とほぼ同じ内容)現場では、年齢による一律の捉え方をすることなく、子どもの育ちの幅を大切に保育・教育を行っているのです。

 これは、幼児の発達を捉えることにおいて、とても重要なことです。つまり、4歳児で、鉄棒の逆上がりがすでにできるが、描画においては稚拙な子ども、また、5歳児で、友だちとのコミュニケーションは上手に取れるが、表現遊びは苦手な子どもといった具合に発達の箇所に凹凸があるのが普通であることを提起しているのです。どの子どもも、その年齢なりにバランスのとれた標準的な発達をするということではないということです。

 ですから、親としてはよその同年齢の子どもと比較して判断することは、ある意味においてはナンセンスなことです。子どもの経験に合わせて育ちの幅がありますから、そういったことに一喜一憂するのではなく、この時期、いろいろな経験をたっぷりさせてあげて充電しておくことが大事になってくるのです。

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