親が子どもを育てる際、何が最も大事なことでしょうか。それは何と言っても安全に生き抜くことを教え込むことです。文字や数を無理に教え込んだり、出来ない鉄棒の逆上がりを必死に指導したりすることは、子どもにとって苦痛以外の何物でもありません。しかし、信号を守る、滑り台のルールを守る、急に飛び出さないといった事故につながる約束ごとは何が何でも教えこむ必要があります。
子育ての基本は、まずは子どもが安心して生活できる環境を作ること、そして、それらを子ども自身が忠実に守ることにあります。
子どもが成長してくると、子どもの一挙手一投足に注意を払っていた両親が、だんだん気が緩んでくるのか、はたまた、子どもを信頼しているのかわかりませんが、基本の安全に対して目を離してしまいがちです。
例えば、子どもと一緒に買い物に行き、帰り道の横断歩道で信号が赤に変わったとき、まだ、車が遠いところにいるので、「早く、早く」といって渡る場合があります。親は臨機応変に対処しているつもりですが・・・。また、滑り台で子どもが逆に昇っているのを見ても、上から滑ってくる子どもがいないので注意をしない親も見かけます。
こういった日常的な光景は特に珍しいことではありません。このように、起こりうる事故の状況を把握し、親は、ケースによってはやっていけないこと、やっても良いことの判断を柔軟にしていますが、子どもはこういった大人の状況判断を理解し、行動するまでにはいたっていません。ですから、子どもの前では安全指導に関しては一定のルールを常に同じように親が率先して見せる必要があるのです。
安全に生活することが基本中の基本です。やってはいけないこと、守らなければならないことは、真顔で真剣に何度でも説明し、子どもの心に刻んでおくことが大事です。いちばんまずい子育ては、同じことをやっても注意したり、しなかったり、ときにはわざと見逃してしまうことです。
親は子どもを危険から守る義務があります。そのためにも、乳幼児から安全指導は徹底しておくことが大事です。小学生になって、親の目が届かなくなる前に・・・
©Gakken