もう10年以上も昔のことになるでしょうか、記憶はさだかではありませんが、某歌手が「の~んびりいこうよ、どこまでも・・・」といった歌をうたっていました。当時(現在はますますそうですが)は世の中が何となく気ぜわしく、せかせかしていましたので、こういったアンチ世の中風潮の提案が、何となく、そうなんだよなあ、といった同調する人たちを出現させたのでしょう。
現在はIT化も急激に進み、ビジネス界では遠く離れた地域の会議もTV電話で可能になっています。こういった発展(進歩は十分わかりますが疑問も残ります)が、人々をして、乗り遅れまい、乗り遅れたらつまずいてしまうという心理状態にさせているのでしょうか。
一方、こんなに気ぜわしくて良いのだろうか、もっと人間本来のゆったりした生活をすべきなのではないだろうか、という動きも出てきました。確か、イタリアからこういったスローライフの活動が出てきたと思われます。
翻って、子どもの成長で考えてみますと、こういったスローライフの考えは相応に共感できるのではないでしょうか。たとえば、離乳食や排せつの自立などは何歳までに完了していなければならないというものではありません。しかし、現実には、早く完了すると親は嬉しくなります。その結果、「這えば立て、立てば歩め、の親心」の言葉ではありませんが、次への成長のステップを待ちきれず、早々と手出し、口出しをしてしまう親が少なくありません。
子どもの自発性を尊重し、子どもがその気になったらサポートをするといった子育てが大切です。そういった子育ては、どうしてもゆっくり、ゆっくりといったスローなサポートになります。子どもは実際に何回も何回も繰り返して身につけていきます。その繰り返しを温かく見守る中で、励ましの手を差し伸べることは、とても大事なことです。
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