一般的に私たち大人は、本を読んで理解したり、人の話しを聞いたりしていろいろなことを学んでいきます。つまり、目で見て、耳で聞いて吸収しているわけですね。一方、子どもはどのような形で知的なものを学習しようとしているのでしょうか。中・高生くらいになると頻繁にノートをとるなど、目や耳だけでなく手を使って学習しています。工場見学、自然観察など、小学生はいろいろな体験を通して学習していきます。
そう考えますと知的学習には五感をフルに使うと効果的なことがわかります。幼児期の学習は、全てが体験学習といえましょう。まさに、手を使う、体を使うなど、言い換えれば実際の遊びを通して学ぶことが最も効果的なことがわかります。
子どもの知は多岐にわたります。生活習慣の自立へ向けての技術の獲得、いろいろな事象に「ナゼ?」と質問する知的好奇心、文字や数のことを理解する学習、ルールを守って暮らすなど社会性を育てる、など多岐にわたる知性の育ちがあります。それらは、身の周りの大人が口で説明するよりも、実際に体験を通して獲得させることがとても有効です。
ちょっと一例をあげますと、四角のブロックを幾つか積んで、それを数えさせる問題がありますよね。そうです、小学校の入試問題に良く出るあれです。積んであるブロックが全部見えれば簡単に数えられますが、立体に積んであって見えないブロックもあると難しいですよね。こういった問題で、正しい数を数えさせるのに、「見えないところにもブロックがあるのよ」と言うだけでは、子どもはなかなか理解できません。こういった問題は、日頃の積木遊びをたくさん経験させることで、いわば、体験を通して理解させることが何よりも大切になります。
子どもの知を伸ばしたかったら、テレビやビデオを見せるだけでなく、折り紙や粘土、あるいは、描画、さらにはしりとりなどの言葉遊び、トランプなど日々の生活のなかで実際の遊びをたくさん経験させることです。こういったさまざまな活動は私たち大人から見れば単なる遊びにしか見えません。しかし、幼児期の学習とは、こういった遊びなのです。机の前に座ってするのが学習ではないのです。これらの日常の遊びを豊富に経験させることが、学校生活の土台を作っているのです。
©Gakken