「うちの子はお友だちと仲良く遊べるかしら」「園で楽しく過ごしているかしら」あるいは、「お友だちをいじめていないかしら」などといった子どもの一挙手一投足が気になるのが親でしょうね。そして、ほかの子どもよりもちょっとでも後れを取っていれば、何とか、追いつき、追い越すように子どもに働きかけるのも、これまた親の心理でしょう。
このように、子どものことになると目の色を変えるのが親であり、だからこそ、子どもも親の愛情をたっぷり受け、成長していくわけです。ところが、この親の愛情のかけ方によっては、子どもが負担を感じる場合もあります。
たとえば、のんびり型のお子さんが、ゆっくり、じっくり物事に取り組もうとしているとき、ほかの子どもがさっさと済ませていれば、何となくあせってきて、「早くしなさいよ。○○ちゃんは、もう終わっているのよ」といった言葉をかけてしまいがちです。
また、子どもが鉄棒の逆上がりに挑戦しているとき、隣りの○○ちゃんができていると、「ほら○○ちゃんはできているよ。なんであなたはできないの。頑張って」とはっぱをかけることもあります。
つまり、子どものいろいろな行動に関して親自身のスケールで見てしまうのです。「このくらいなら出来てもあたりまえ」「このくらいなら、素早く処理できるのでは」といった大人の感覚で判断しがちです。そのうえ、同年齢の子どもたちとの比較を常にしていて、自分の子どもが遅れることに対して過剰な不安感を抱いてしまいます。
そこには、子どもの心情や性格を優先させて配慮するという姿勢が希薄になっています。子どもがしている活動に対して、子どもが周囲のことを気にせず自由に楽しく取り組んでいるかどうかが何よりも重要です。そのことに思いいたれば、焦る必要はありません。また、ほかの子どもができたかできないかということに関しても、気にしてきばる必要もありません。むしろ、温かく見守ってあげればよいのです。
要は、子どもの行為に関して、あせらず、きばらず、あたたかくを常に念頭において子育てをしてくださいますよう・・・
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