プラシーボ効果とは、ラテン語で「私は喜ばせる」の意味です。 そこから患者を喜ばせることを目的とした薬理作用のない薬のことを指します。言ってみれば、「偽薬効果」とでも言うのでしょうか。お医者さんが「この薬はとっても効きますよ」といって、ビタミン剤を与えると、本当の薬でもないのに患者に効果が現れるという類です。つまり、心理的手法で効果を引き出す方法です。
ところで、こんな場合はどうでしょう。例えば「○○さんは、これで綺麗になりました!」とか、「私は、これで病気が治った!」などの宣伝コピーにひかれて、ついついその商品を購入してしまう、といった例です。
美容のためのクリームや健康のための飲料水など、その効果は人によってあるとしても、キャッチコピーほどの効果は万人には無理でしょう。しかし、その宣伝文句を信じて使用して、何となくその気になってしまい本当にそう思い込む気持ちがより積極的に働き、前向きにとらえて効果を引き出していくこともあるのではないでしょうか。
私たちの生活の中には、こういった心理に影響を受けることが結構多いものです。よく「気は持ちよう」とか「プラス思考」とか言います。これらも明るく前向きに生活をしていこうとするための、無意識の心理的効果を期待したものといえましょう。
プラシーボ効果は教育の面でも活用できます。 「ずいぶんよくなったね、これでもう大丈夫だよ」 「よく頑張ったね。これでもうすぐできるようになるよ」 「○○ちゃんはおりこうさんだね。これもすらすらできるね」 ・・・などの前向きの言葉かけです。子どもはたとえ言葉の意味を理解していなくても、大好きな人から優しく言われれば、意欲がわいてもっと挑戦しようと頑張ります。事実、学習の効果を上げる要因は、こういった意欲を高める心理的側面が大きいのです。
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