最近は脳についての話題がいろいろ聞かれます。脳は身近な存在なのですが、専門家以外には取り付きづらいテーマです。ひとくちに脳と言いますが、脳は大きな一つの塊ではなく、異なった機能を持つ幾いくつかの領域に分かれています。大きく分けますと大脳、小脳、脳幹と呼ばれる部分から成り立っています。このなかで人間としての特徴を一番表しているのが大脳です。大脳の中でも人間ならではの思考活動をする場所、それが「前頭前野」と呼ばれる部分です。
東北大学の川島教授の実験結果によりますと、子どもの前頭前野では単純な計算や音読をしているときのほうが、難しいことを考えているときよりもはるかに活発に働いているとのことです。つまり、学習でいえば「読み、書き、計算」といった基礎学習が子どもの脳の発達に大きくかかわっているのではないかと考えたのです。
川島教授は、初等教育においては、この「読み、書き、計算」をどんどんやって基礎的なトレーニングを強化すべきと考えています。そして、この基礎的な学習のもとに、さまざまなことを積み上げていく力がついてくるということを述べています。このようなシンプルな「読み、書き、計算」が脳を活性化しているということが分かっただけでも素晴らしいことです。
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