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保護伸展反応

 幼稚園や保育園の園庭で走り回って遊んでいる子どもたちが転倒したとき、とっさに両手が前に出ず、顔から地面につき、おでこなどにけがをしたりすることが少なくありません。最近、特にそういった傾向が見られ、歯医者さんの話では、転倒して歯が欠けるといった子どもが多くなってきたということです。

 昔も原っぱや空き地で子どもたちは走り回って遊んでいました。当時のそういった子どもが転んで歯をどうかしたということはあまり耳にしませんでした。最近多くなっているということは何か原因があるのではないでしょうか。考えられる要因としては、子どもたちの運動不足があります。また、体を十分に使った運動が足りなくなってきていることも考えられます。

 そういった運動とはどんなものでしょうか、それは両手がすばやく、反射的に前に出る動きのものです。その端的なものはボール遊びです。ボールをころころ転がして、自分のところに来たボールをすばやく両手を前に出して取る動作です。また、相手が投げたボールを胸で受けるのではなく、両手で受ける動作です。

 こういった動作は小学校高学年ではごく当たり前のことですが、乳幼児や小学校低学年の子どもたちは、日頃から経験を積んでいないと上手にはできません。こういった動作、つまり、素早く両手が前に来る動作がスムーズにできるようになれば、走って転んだときに、やはり、素早く両手が前に出て顔面が直接地面にぶつかることは少なくなります。

 これは、自分の身を守る事はもちろん、例えばお母さんが抱っこした赤ちゃんを守るためにも、とても重要な運動です。この運動をしっかり身に付けるには、赤ちゃんのころからころころ動くものを与えて、自然に手が前に出る動きを身につけていくことも大事でしょう。

なお、以上のような、とっさに手を前に出す運動を保護伸展反応といい、別名、パラシュート反応ともいいます。

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