リトミックという言葉は、幼児を持つ母親であれば一度や二度は聞かれたことがあると思います。でもその内容は、というと「体を動かしてリズム遊びをするのかしら」といった、漠然とした理解をされている方が少なくありません。まあ、当たっているといってもそう遠くはないでしょう。
この「リトミック」の考案者は、スイスの音楽家ダルクローズが開発した、音楽教育法なのです。日本のリトミックと呼ばれるのは、大方このダルクローズの考えを取り入れています。
今日、日本の幼稚園や保育園では、英語や造形、体育などと同様に、このリトミックを導入している園が少なからずあります。実際の指導にあたっては、自園の先生が指導するケースや外部の指導者に指導してもらうケースなどさまざまです。
このリトミックの手法は、園現場では大きくいって二つの流れがあります。その一つは、天野 蝶さんが考案された「天野式」であり、もう一つは、斉藤公子さんの「さくら・さくらんぼのリズム」があります。どちらも底流にはダルクローズの考えがあります。このリトミックでは、音楽を聴き、体を動かして、集中力、バランス、表現力など総合的な力を育てています。そして、幼稚園や保育園では保育・教育の分野に健康・人間関係・環境・言葉・表現といった5領域がありますが、とりわけ、健康や人間関係、表現の分野でこのリトミックが寄与するものが大きいということも、園現場で普及している遠因かもしれません。
現在は、幼稚園や保育園にとどまらず全国いたるところに「リトミック教室」なるものがあり、幅広く普及しています。親にとっては、音楽という情操、リズムにあわせた表現力の醸成などの印象から、我が子に経験させたいと思う方が多いようですね。
©Gakken