この「シュタイナー教育」という言葉を、何かの機会に聞いたことがありますでしょうか。旧オーストリア帝国出身の思想家で哲学者のルドルフ・シュタイナーが始めた教育のことです。ちょっと硬い話ですが、このシュタイナーは、20世紀の初め、アントロポゾフィ(人智学)という人間観を提唱しました。その考えの基に1919年にドイツに学校をつくったのです。その後、世界中につくられましたが、日本では、子安美知子さんが1975年、「ミュンヘンの小学生」という本を著し、知られるようになりました。
シュタイナーの考えでは、人間の成長を7年周期で捉えています。最初の0歳~7歳では自分の周りの世界は善であふれていることを子どもが理解するような教育をします。7歳~14歳では、感情の成長期であり、そのために、芸術に重きを置いた教育実践を、14歳~21歳では、自我がはっきりしていく時期で、表象活動が活発になるのでそれに合わせた教育をしていきます。
具体的には、子どもの心や体の発達観に基づく12年間の体系的なカリキュラムがあります。教育実践の特徴としては、「オイリュトミー」(音楽のリズムに従って優美に歩いたり、詩を唱えたり、言葉の響きに従って体を動かしたりする)、フォルメン(動きのフォルムを把握するためのアプローチ。この経験は7歳以降に重視されます)、「水彩」(物の形を描くというよりも色の混ざり具合を表現する)など、幾つかの独特な活動があります。
シュタイナー教育は、世界の教育の中でも、異色な教育法としてよく知られています。
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