LDとは学習障がい(Learning Disabilities)のことを言います。 英語では複数形になっていることからもお分かりのように、単一の障がいだけでなくさまざまな状態が含まれています。この学習障がいは、基本的には全般的な知的発達の遅れはありませんが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち特定のものに関して著しい困難を示す状態を指します。
例として、「聞く・話す」では、聞きもらしが多い、指示された内容を理解しづらい、正確に復唱できない、言葉の意味や文法を間違えて使ってしまう、「読む・書く」では、文字や行をとばして読んでしまう、読んだ内容が理解できない、鏡文字になってしまう、ます目の中におさまるように書けない、「計算・推論」では、数の大小判断が苦手、九九が覚えられない、因果関係がなかなか理解できない、などがあげられます。
ただ、LD児は単に勉強についていけない学業不振児と混同されやすく、指導者が的確に判断できず、そのため誤った指導により見当違いな苦労を強いられ、不登校を招くこともあるとも言われています。また、友だち間でも正当に理解されず、いじめに合うこともあります。
日本では、1999年に文部省(当時)が学習障がいを定義したうえで、LD児をできるだけ早く把握し、学習の遅れを補うための少人数指導など適切な対応をとることが重要であると報告しています。現在まで、教員教育、環境整備、指導法や教材開発など、困難を抱えた子どもへの対応はさまざまな点で進化していますが、この面での先進国といえるアメリカやカナダなどと比べて、まだまだ開きがあるのが実状です。
あらためて振り返ってみましょう。身の回りに思い当たるケースがなかったかどうか、現在はどうだろうか。私たちの正しい理解と配慮も必要なのです。
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