幼児期の生活習慣の自立には、どのような働き掛けが大切なのでしょうか。排せつ、着脱、清潔の3つの自立につながる、声掛けや工夫、環境作りのヒントを紹介します。
★個人差はあるが、おむつからパンツへの移行が進む
★自分でトイレに行き、排せつをするようになるが、間に合わないことも多い
★排尿、排便後に自分でふこうとする
★パンツやズボンをすべて脱いでしまわずに排せつする
★トイレの正しい使い方を覚える
★トイレでの排せつから後始末まで、ほぼひとりでするようになる
★ひとりで排せつする
★マナーを守ってひとりで排せつする
★座ってパンツやズボンを脱いだり、はいたりする
★上着を脱いだり、着たりする
★靴を脱いだり、はいたりする
★立ったままパンツやズボンを脱いだり、はいたりする
★ボタンやスナップを留める
★衣服の前後が分かる
★裏返しの服を表に返す
★ほぼひとりで着脱する
★脱いだ服を畳む
★ひもを結ぼうとする
★服のひもを結んだり、ファスナーを開閉したりする
★身なりの乱れに自分で気付いて直す
★手を洗おうとする
★鼻をふいてもらうと、気持ちいいことが分かる
★使ったおもちゃを大人と一緒に片付けようとする
★手伝ってもらいながら、自分で鼻をかむ
★ルールにのっとった片付けができるようになる
★ひとりで鼻をかむ
★ひとりで手を洗い、タオルでふく
★自分で体をふく
★順番を考えるなど、工夫して片付けをする
★手で水をすくい、顔を洗う
★うがいや手洗いの必要性が分かって自分からやろうとする
※この表は目安です。発達には個人差があります。
生活習慣を身に付けることは、社会生活を送るうえで大切なことです。しかし、いろいろなことを一度に身に付けさせようと思うと、親子ともに負担となります。
「思うようにはならない」「させようとしない」「失敗を丸ごと受け止める」という大らかな気持ちで向き合いましょう。
また、「○歳にはこれができないといけない」と決め付けて焦ったり、ほかの子と比べたりすることもやめましょう。基本は我が子、個人差は当然。できる・できないの凸凹があっていいのです。「これを教えよう」と思ったときには、子どもが少し頑張ればできるレベルを見極め、無理強いをしないこと。そして気持ちに寄り添いながら、保護者は常に
同じ意思を持ってかかわりましょう。「今日は面倒だから、手洗いはしなくてもいいや」では、子どもは戸惑ってしまいます。
また、できることをしっかり褒め、認めることも重要。やる気が生まれ、さまざまなことに挑戦したくなります。その思いを引き出せたら、余計な手助けをせずに、じっくりと見守ってあげることが大切です。
なぜ手を洗うのか分かることが、習慣が身に付く第一歩。声掛けで意味を伝えながら、環境を整えたり、援助をしたりしていきましょう。
「手が汚いね、きれいにしようね」「きれいになると気持ちがいいよね」と手を洗うことの気持ちよさや大切さを伝えます。
踏み台などを用意し、洗面台に届くようにします。子どもは「自分の物」が大好きなので、専用のせっけんやタオルを用意することも効果的。
2歳ごろからは、なんでもやりたがる時期。気持ちをくんで、自分でできる状況を整えます。
ズボンやパンツを座ってはくときには、小さな台を用意してあげるとよいでしょう。立ってはくようにステップアップするときには、壁にもたれかかれるようにします。
上着はかぶるだけの物を用意し、前後の区別が分かるように教えます。目印がない場合は、背中のえり口などにマークを付けたり、サイズのタグを利用したりすることも便利です。
年齢に合ったおもちゃを程よい数だけ用意し、「大切な物」という気持ちを芽生えさせることが上手な片付けにつながります。
こまめにおもちゃの整理をして、数が増えすぎないようにします。半分だけ出してときどきおもちゃを入れ替えても。片付けの場所は1か所に決め、種類別の箱を用意することもお勧めします。
3歳くらいまでは、片付けた後の見通しを先に教えます。見通しが分かると、片付けをしようという気持ちもわきます。
4歳くらいからは、「○○ちゃんのだからしまおうね」「○○君の大事な物だから、片付けようね」と物の大切さに気付かせるようにします。
身長に合わせて環境を整え、使い方を教えたら、しばらくは最初から最後まで見守り、ときどきアドバイスをしながら進めます。
しっかりおちんちんを指で持つことを教えます。同性がサポートするとコツが教えやすいことも。
深く腰掛けて、おしっこが前に飛び散るのを防ぎます。服やスカートを持つことは、忘れがちなので声掛けを。
補助便座を用意したり、ステップの高さを調節したりして使いやすい環境に。花などを飾り、明るい雰囲気を作るとトイレが楽しくなります。
小学校入学前になると「そろそろ正しいはしや鉛筆の使い方を教えないと」と思う方は多いのではないでしょうか。しかし実際は、子どもがスプーンを持ち、自ら食事を口へ運び始めたときから、準備は始まっています。はしや鉛筆を正しく使うためには、手首の返しの動きを習得することが重要です。
また、ある程度重さのあるステンレスのスプーンを使うなどして、手首を強くしておくことも大切です。これらの準備を少しずつ重ねておくことで、はしへの移行がスムーズになるのです。