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教育トピック

個食、孤食

 個食、あるいは、孤食という言葉を聞いたことがありますか。これらは、一人で食事をすることが、若者だけでなく幼児や小学生の子どもも少なくないという現象を言っています。

 言うまでもなく、食事は単にモノを食べるという行為だけでなく、食事を準備、調理してくれる親の姿を見たり、食事の場を通して親子で今日一日の出来事を話し合ったり、あるいは、食事のとり方でそれぞれの体調を把握したり、さらには、団欒のなかで夢や希望を語り合ったりする貴重な場なのです。

 そういったものを全部そぎ落としたのが個食であり、孤食なのです。どうです、こう考えたらいかに大事なものを失っているかおわかりでしょう。

 最近は、個食や孤食までにはいたりませんが、朝食や夕食までもファミリーレストランですませようという家族が増えてきました。また、保育園の園長先生から聞いたのですが、保護者の家庭のなかに、包丁レスといった家庭が数軒あるということです。つまり、惣菜を切るということはなく、全てカットされたもので済ませるということです。こういった形が日常化してくると、行きつく先は一人で食べる、といったことになってきます。

 お金を出せばすむ、あるいは、料理を作る時間がない、合理的に生活しよう・・・といった流れに乗りすぎると、本来持っていた親から受け継ぐ食生活を通しての感謝や思いやり、あるいは、穏やかな感情などがスポイルされてしまいかねません。

 家庭での食事をとるスタイルにあまりに問題がありすぎるので、最近、食の大切さを再認識しよう、食の生活そのものだけでなく「食の風景」まで見直そうという動きが出てきています。一家団欒の場は、あくまでも基本的には食卓の場です。どうぞ、その機会を自らなくさないように食を含む周辺の事柄を大事に考えたいものです。

池澤 純二

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