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教育トピック

親業

 突然ですが、「親業」という言葉を聞いたことがありますか。後で説明しますが、子どもにとって親は親で、親にとって子どもは子どもという、ごく当たり前のことに、こういった子育てについての言葉が存在することが、まずもって残念なことです。

 そういえば、2006年に改定された「教育基本法」の中にも、家庭教育の文言が新しく追加されています。その家庭教育の文言には、「子の養育の第一義的責任は親にあり・・・」と記されています。子どもの養育の責任が親にあることは明白な事実なのに、こんな文言があるのは何とも・・・。

 いずれにしても、親が子どもをしっかり育てることは、簡単なようで実は難しいということが、この「親業」や教育基本法からも読み取れます。実際に九州で「赤ちゃんポスト」という施設があります。諸事情のため、この施設に赤ちゃんを置いていく親がいるのです。ただ、少しほっとすることは、いったん置いていった後で、また引き取りに来るケースも少なからずあるとのことでした。そのほか、ニュースでもよく聞かれるように、虐待する親も存在します。実に情けない話です。

 さて、親業についてですがこれは、親として健全に子育てしていくうえで、望ましい方法を実際にロールプレイを通して学んでいこうというプログラムです。これは、1960年代にアメリカの臨床心理学者のトマス・ゴードン博士によって提唱された教育プログラムです。

 カウンセリングや学習・発達心理学、教育学などいわゆる行動科学の研究成果を基本にしていて、「聞く」、「話す」、「対立を解く」の3つの柱からできている技術訓練プログラムですが、親子の関係だけでなく、人間関係全般に応用できるとのことです。我が国でも1980年以降に、親業の訓練についての考えが広まってきています。

 このような親業の訓練プログラムというものがあるくらい、どの親も大なり小なり子育てで悩んでいるということを知れば、自分一人だけ悩んでいるわけではないということを感じ、少しは気が楽になりますよね。

池澤 純二

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