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教育トピック

クールダウン

 「時が解決する」という言葉があります。この言葉はいろいろな場面で使われますが、一般的には、ある時間が過ぎてしまえば、その時のトラブルは実は案外何でもなかったと考えられると言う場合に用いられます。あまり好ましくない例ですが、大恋愛していた女性が、相手に逃げられ深い心の傷を負いますが、それも時が過ぎていくうちに、その傷も徐々に癒え、平穏な気持ちになっていくといった場合もありますね。

 表題の「クールダウン」という言葉は、ある一定の時間をおいて、その場の興奮状態を鎮静化させるといったときに使います。つまり、時間の経過が興奮状態を徐々に静めていくのです。幼稚園や保育園で子どもたちがけんかをした場合に、先生がよく使う手法に、このクールダウンがあります。それは、けんかをしている子どもの間に入り、何にも言わず、かわるがわるじっと抱きしめます。

 そして、時間をおいてから、双方にけんかの原因をじっくり聞きます。子どもたちはけんかをした後、先生に抱きしめられ、そして、その原因をゆっくり聞かれるわけですから、けんかをしてからかなりの時間が経過しています。そういった時間の経過のなかで、落ち着きをとりもどしますので、けんかの理由もはっきり言うことができ、おたがいに「ごめんね」とあやまるゆとりが出てくるのです。つまり、クールダウンが実効しているのです。

 日常の家庭生活でも、この「クールダウン」の考え方は、とても有効です。夫婦げんかをしても、一日たてば、ばかばかしいと感じる余裕ができますよね。きょうだいげんかのときは、親が仲裁に入るときに抱きしめたり、言葉を交わしたりして時間をかせぎます。くれぐれも「けんかの原因は何よ」とすぐ、ストレートに聞かないことです。

 親子のちょっとした言い争い、きょうだいげんか、夫婦のもめごと全てに、この「クールダウン」は有効です。心を落ち着ける時間を何とか工夫してあげてほしいものです。

池澤 純二

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