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教育トピック

アスペルガー症候群

 アスペルガー症候群とは1944年オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーによって初めて報告されたことに由来します。当時は、第二次世界大戦のためにほとんど注目されていませんでした。1981年イギリスの医師ローナ・ウイングがアスペルガーの発見を紹介し、1990年代に世界中に知られるようになってきました。

 自閉症の仕分けに低機能自閉症と高機能自閉症があります。一般的には自閉症は低機能自閉症を言いますが、アスペルガー症候群は、この高機能自閉症にあたります。

 アスペルガー症候群は、「知的障がいがない自閉症」とされています。特徴としては、他人の情緒に対する理解力や自分の感情をボディランゲージや表情などで相手に伝えることが苦手です。つまり、コミュニケーションを上手にとることができにくいのです。また、興味や関心を持つ対象物がかなり限定されます。例えば、鉄道、コンピュータ、数学、天文学、地理、恐竜などが特に興味の対象になります。また、子ども時代に細かな運動能力に遅れを見せることも少なくありません。

 このような特徴のほかに、感覚的にはかなり多くの負荷がかかっていることもあります。騒音や匂いに敏感だったり、あるいは、接触されることを極端に嫌がったりすることがあります。これらの症状は、集団の場で起きることが多くありますので、集団生活の中で、周囲の子どもたちに理解されず、いろいろなことで問題を複雑にすることもあります。当の本人はいろいろな意味で精神的苦痛を受けています。

 私たちの周囲にもそういった子どもたちがいるかもしれません。外見上は一般の子どもたちと何ら変わりはないので、周囲は本人の苦痛を十分受け止めることはせず、単に、変わった子どもと見なしてしまうことが少なくありません。

 ですから、社会全体が自閉症やアスペルガー症候群に関して理解を深め、どの子どももその個性を認め、触れ合っていくようにしていくことが今後の課題と言えましょう。

池澤 純二

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