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耳かきは、入り口から1cm

3月3日は耳の日。子どもの耳かきって、どの程度、どんなふうにしたらよいのか、迷っていませんか? 疑問に答えます!

 子どもの耳かき、どうしていますか? 子どもが怖がるのでまったく手付かず、という場合もあれば、逆に、親子とも耳かきが気持ちよくて毎日やっている、という場合もあるようですね。実際、診察で子どもの耳の中を見ると、耳かきをやりすぎたせいか、耳の入り口から鼓膜までの外耳道が傷だらけ、という子を見かけることがあります。では、耳かきはどの程度やってあげたらよいものなのでしょうか。耳かきの疑問のあれこれについて答えます。

耳かきはやったほうがいいの?

 実は、「してもしなくてもいい」というのが答えです。耳あかは、耳の中の毛などにより、自然に外に押し出されるようになっています。ですから本来は、耳かきはしなくてもいいのです。ただし、体質によっては耳あかが多く、たまりやすい人もいるので、奥のほうの耳あかを出しやすくするために、入り口付近をときどき耳かきするとよい場合もあります。それでも、子どもが耳かきを嫌がるなら、無理やりする必要はありません。どうしても気になったり、耳あかがたまりやすかったりする場合は、年に1、2回ほど耳鼻科で耳掃除をしてもらえばいいでしょう。

耳かきはどんなふうに、どれぐらいの頻度でしたらいいの?

 耳かきは本来やらなくてもいいものですが、「お母さんの耳かきが大好き」と子どもが気持ちよさそうにしているなら、親子の大事なコミュニケーションのひとときにもなるので、やってあげてもかまいません。

 その場合、耳かき棒よりも、綿棒を使うことをお勧めします。耳あかには湿り型と乾燥型がありますが、日本人の多くは乾燥型。乾燥型の耳あかは耳かき棒を使うと取り出しやすいのですが、力加減によっては耳の中を傷つけてしまいます。ですから、子どもの耳あかが湿り型であっても乾燥型であっても綿棒を使い、軽くふき取るように優しくやってあげましょう。そのとき、奥まで掃除するのは禁物。かえって耳あかを奥へ押し込んでしまうこともあるので、耳の入り口から1cmぐらいまでにしてください。耳あかが水分を含んで軟らかくなる、おふろ上がりにやるのがお勧めです。また、乾燥型の耳あかの場合は、オリーブオイルなどを綿棒の先に少し付けてからやると、耳あかがより軟らかくなって取りやすくなります。子どもがリラックスできる姿勢なら、ひざの上に寝かせても、座らせて横からやってもいいでしょう。頻度は、2週間から1か月に1回程度。「親子の至福の時間」とは言っても、くれぐれもやりすぎないように注意してください。

耳あかがたまりすぎるとどうなるの?

 最近はあまり見かけませんが、耳あかの塊が耳をふさいでしまって痛くなる、耳孔塞栓(じこうそくせん)という病気になることがあります。耳あかがたまりやすい子どもや、耳あかを外に出す作用が弱い子がなりやすいようです。耳かきで耳を傷つけたり、耳あかを押し込んでしまったりすることが原因になることも…。子どもの耳が急に聞こえなくなったり、熱はないのに耳を痛そうにしたりする場合は、耳孔塞栓を疑って耳鼻科を受診しましょう。この場合は、耳あかが硬くなってしまい、無理に取ると耳の皮膚を傷めるので、耳鼻科で取ってもらうようにしてください。

 ちなみに、中耳炎は細菌やウイルス感染によるものなので、耳あかがあるかどうかとは関係ありません。

監修:
石川功治(たんぽぽこどもクリニック院長)

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